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OTOMI

中ハシ 克シゲ

1990

西洋近代の彫刻概念への懐疑から出発した中ハシは、植木、鯉、和傘、力士(小錦)といった「日本的なもの」の典型をモチーフとして取り上げた立体作品を制作してきた。「板塀越しに見る松」を表すこの作品は、日本文化の型としての風景であり、タイトルからも明らかなように「お富の松」として知られる、歌舞伎『与話情浮名横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)の名場面を想起させる。しかし作家の関心は、こうした日本的な典型、文化的なアイデンティティを記号的に取り扱うことによって、社会が共有する意識や記憶に働きかけ、「自然」と見なされるものに隠れた人為性、文化的な歪みやズレを提起することにある。銅線の松葉、鉄による枝や板塀のもつ乾いた印象は、日本文化に言及しつつも、そこにまつわる情緒性を巧みに排除し、ありふれたものを異物として提示する作用をもっている。